January 30, 2011

SNS狂想曲~Facebookの台頭に備えて~

最近、日本人の友人からのFacebookのお友達招待を受けることが増えています。
(映画、ソーシャルネットワークの影響でしょうか?それとも、巨大SNSの波が日本にもようやく伝わってきたということでしょうか?)

現時点において世界で唯一、Twitter利用者がFacebook利用者を上回る[2] ガラパゴス日本でFacebookが今後普及するかどうかについては賛否両論あるようです。しかし、Facebookのマクロトレンドを予測する事よりも、日々メールボックスに届く、Facebookの招待とどのように付き合っていくかの方が切実な問題です。キノコのように繁殖するSNSサービスの数々。それらのコミュニケーション手段を上手く使いこなせれば有益な情報や人脈を得られることは確かですが、逆に、やみくもに登録、無秩序に管理をしていると、有益となるどころか時間と手間ばかり取られてしまい、三日坊主で放置アカウントとなってしまうのが関の山です。

私も試験的導入も含め、SNSをいくつか使っているのですが、そのような問題が常につきまといます。ここでは、特に最近の日本おいて、顕著な広がりをみせる、Facebookとどう付き合っていくか、どう有効活用させるか(さらに踏み込むとTwitterとどう使い分けていくか)について考えてみます。


[Facebookとは、Twitterとは?]

Facebookの最大の特徴は、登録の際に実名登録を推奨しているという点です。Facebook参加者のほとんどが実名で登録している為、利用する以上、「郷に従うのが自然」といった暗黙のルールが存在します。また、招待を申し込まれた人からの承認があって初めて友達関係になれるというルールもある為、お互いの素性をあまり知らずに、つながりだけが拡散することはあまりありません。本名を出し、友人の友人というつながりを担保することで、SNS内で秩序が保たれると同時に情報に責任が付加することで、情報の信憑性が増します。実名だけでなく、設定次第では生年月日、学歴・職歴、さらには彼女の有無まで公開することが出来ます。

一方、TwitterFacebookとは異なり、実名登録の必要はなく、細かな個人プロファイルの表示機能は特に用意されていません。また、承認という概念はなく、誰でも好きな人をフォローすることができます。有名人であれば、登録のその日に、意図せずとも数千人にフォローされるということも稀ではありません。


私見での(一部、個人的な使い方に基づく)各SNSの日本における現状のマッピングです。Facebookにおいてプライバシーを細かに制御できるようになったことと、Twitterにおいて画像・動画・リアルタイム中継等の周辺アプリが充実してきたことにより、その機能と使い方が徐々にオーバーラップしつつあります。両方のSNSを使うユーザーにとって、FacebookとTwitterでできることが似通ってきた為、どちらがいいのか?悩むことになります。


[Facebookとの付き合い方]

今後、日本においてもより増すであろうFacebook勢力とどのように付き合っていくか、3つのオプションについてその一長一短を検討してみましょう。


オプション1:互いに住み分け

Facebookにおいては親しい人とだけ友達になる。Twitterでは分け隔てなく、親しい人とも距離を置く人とも積極的にフォロー・フォロワーの関係になる。
 【長所】
・個人情報の公開対象をSNS毎に明確に分けることが出来る
 (細かい個人情報を公開してもよいような親しい人と、そうでない人をFacebookTwitterで分けられる)
Twitterのみを利用する友人もFacebookのみを利用する友人も、両方取りこぼしがない
 【短所】
Twitterにはない、Facebookの各種機能は親しい人との間のみに限定される
(例えば、人を区別することで、距離を置く人とは、Facebookの“グループ”や“アプリケーション”機能が利用できなくなる)
・友達をFacebookTwitter両方にまたぐべきかどうか、個別に選別する必要がでてくる


オプション2:Facebookを使い分け

Facebookでは、どの友達に対して、どういった情報を公開・非公開にするかということが、事細かに設定できる。そのプライバシー管理機能を利用して、Facebook内で友達を区別する。細かい個人情報を公開してもよい親しい人と、個人情報を共有したくない距離を置く人とをFacebook内で分ける。Twitterにおいては、人を分け隔てず、今のまま使い続ける。
 【長所】
Twitterでの友達ともFacebookのコンテンツを(公開内容をコントロールしつつ)共有できる
Twitterのみを利用する友人もFacebookのみを利用する友人も、両方取りこぼしがない
 【短所】
Facebook上で、友達毎にプライバシーの公開環境の細かい設定に手間がかかる
FacebookTwitterの両方のメンテナンスに時間を費やす


オプション3:Facebookに乗り換え

機能面からだけ言えばTwitterでできることは全てFacebookでも可能であることから、Twitterをやめ、Facebookに完全移行する。
 【長所】
2つのSNSを管理する必要はなく、Facebookだけ管理すればよい
【短所】
Twitterはやっているが、Facebookをやっていない友達にリーチできない
・(今の日本では)Twitterの方が情報の流動性・俊敏性に優れる為、Facebookではリアルタイムな情報の質・量が欠ける



私自身、Twitterを積極的に利用しつつも、日本以外の友達についてはTwitter利用率が低いので、そのような友達とはFacebookを使わざるを得ない状況にあります。これまではなんとなく、日本と海外の友達という国別の分け方でTwitterFacebookを使い分けられていたのですが、日本で広がりを見せているFacebookと、今後どう付き合っていくかは、現在思考錯誤中です。

「どのSNSにおいて」、「どの範囲の友達にまで」、「どういった情報を公開するか」、についてそれほど敏感になる必要はないという意見もあるかもしれませんが、私は慎重になってしまいます。情報の透明化がもたらす便益は計り知れないものがありますが、それが往々にして不利益となることも忘れてはいけません。例えば、Twitterで「外出中なう」とつぶやいて、帰宅すると、空き巣に部屋を荒されていた、というケース。また、SNS上の個人情報(性別、年齢や既婚・独身情報)が面接官により調べ上げられ、職の採用・不採用に影響を及ぼす等。これから時代、行き過ぎた情報の透明化がもたらす悪影響にも十分に注意を払う必要があります。

日本には昔から、「陰翳礼讃」や「秘すれば花」といった精神が脈々と流れています。全てが白日の下にさらされた、明白な世界ほど味気なく、つまらないものはないのではないでしょうか。日本で、Facebookが他国程の勢いを見せていない理由は日本文化の根幹と深く関わっている気がしてなりません。

日本における実質Facebook元年となるかもしれない、年の初め、一つ考える宿題ができました。


出展:

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